兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

図解科学昭和18年9月号 -みたみわれ この大いくさにかちぬかん- を読む

改めて激レア科学雑誌の図解科学(出版:中央公論社)を読んでみる。今回の特集は突破戦車、すなわちWoTやWT、またあるときはオモチャ屋のショーケースで輝いているアイツである。昭和18年といえばチョビ髭軍団がスターリングラードやチュニジアでどんぱちしていた頃だろうか。そういった事を念頭に置いて読んでいきたいと思う。

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「重戦車群を第一線におし進め、無数のトーチカと対戦車防備で固められた敵陣を突破して、深く楔をうち込む集団攻撃は、マジノ線を電撃的に突破し、さらにセバストポリの要塞をおとし、スターリングラードまで一気に押し寄せたドイツ軍自慢の戦法でした。そして、ドイツとともに世界の二大戦車国といはれたソ連が数にものをいわせてくり出した大戦車群さえも、ドイツ軍得意の戦法と質の優秀さには太刀打ちできず、至る所で打ち破られています。

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ドイツ軍の破竹の進撃を伝えている。 さて、本題となる突破するための装甲戦力はなにが強みなのだろうか。時代は紀元前800年のアッシリアまで遡る。アッシリア王 サルマナッサー二世は盾をもった6輪車を作り、弓手を乗せて敵陣を突破したらしい。その後は、投石機や広い壕を踏み越えるための橋、馬で引く戦車などが出現したと言われている。その後、今日のような戦車といたるまでは「蒸気機関」「無限軌道」「大馬力発動機」を要しているのだから一筋縄ではゆかぬようだ。かくして、第一次世界大戦のカンブレー会戦こそが本当の戦車戦の元祖となるのである。

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陣地や敵戦車を突破して突撃路を開き戦線を押し進める突破戦車であるが、その要求を見てみよう。(戦車要覧からの引用)
・必要に応じた突破力
・75ミリ砲に数発耐える装甲
対戦車火器として75ミリ砲または対重戦車用に105ミリから155ミリ級の砲
・対空防護のための機関銃
だそうだ。我が帝国の行く末を案じたくなるような気がするが、言わぬが花というやつである。
この手のジレンマはあーだこーだ語るよりも、戦車ゲームで遊んでみるのが手っ取り早い。
敵の装甲が抜けない/こっちの装甲が持たない/肝心なところで立ち往生する なんて気持ちを味わってほしい。
 
ついで各国が配備運用している突破戦車軍を考察していこう。
1943年9月の最新情報であることを加味して読んでもらいたい。(抜粋。全文見たければ買うか国会図書館へGO)
ドイツ🇩🇪
ベルサイユ条約による兵器保有制限の後、血が出るような努力を重ね戦車大国へと至る。
冷房装置、対ガス防御、耐水装甲を有しているため人間工学に配慮している。
大量生産に適した構造を採用しているので短期間のうちに外見は同じでも中身は一新したものを作れる。
チュニジア戦線へは最新の「虎」戦車、第三次独ソ戦では「虎」とは異なる大型重戦車を出動させT34を片っ端から撃破している。
 
イタリー🇮🇹
アンサルド軽戦車を多数配備しているが、偵察以外での価値はない
40式中戦車、また重戦車の出現には期して待つべき。(たったこれだけかよ)
 
イギリス🇬🇧
戦車砲から保護するため機動力に重点を置いた設計を取っているが、昨今の情勢を見て防御力も追求している。代表的なものはクルーザータンク マークiiAおよびマーク4A。前者は歩兵の突撃路を開くためのものである。「ニューヨークの電話帳」なみの装甲を有する銀行の金庫が突進してくるようとのことだが、砲塔内部の激しい振動を誘発する。実戦の経験をとりいれた新型戦車の動向に関しては今後の問題となる。
 
アメリカ🇺🇸
巨大な空軍、海軍を有するアメリカは上陸を許すことはないだろうとの安心から、戦車の開発は後回しであった。開戦後は今後の欧州派遣作戦を踏まえて42年に4万5千台、43年に7万5千台の製造計画を発表する。
M3軽戦車、M4中戦車を主軸に大量生産を行いつつ、57トン重戦車も研究しているらしい。
M4中戦車「シャーマン将軍」の特徴は鋳物で作られた65ミリの装甲、75ミリの火砲、充実した対人対空火器、射撃安定装置。車内の快適性と生産性改善のため航空機用エンジンを装備したため車両の全高が増したのはアメリカらしい間が抜けたところと言える
 
ソ連🇷🇺
ドイツ、満州と接しており広大な国土を防衛するため、機動力に富んだ設計を取っている。
製造される戦車も火力、装甲、速力の三点を追求しているおり、まさしくこの点に沿っているが、質が悪い点もある。1941年に現れたBT戦車の改良型である「T34 マンモス」は東部戦線に最も適応した車両であり、ソ連戦車の白眉である。52トン KW1または2 重戦車のもつ打撃力、防御力はすさまじいが、実戦的および技術的な価値は疑われている。
 
しっかしまあ、この記事を書いた人はM4シャーマンT-34(銀幕で)ゴジラやエイリアンとドンパチするなんて夢にも思わなかったろうな。歴史はどうなるかよくわからんものじゃ。まさしく戦車の設計とは装甲、火力、機動力の三要素の苦心が伴っているのである。
 
では、それら3要素の今後の発展を抜粋する。
装甲では対戦車のみならず対空攻撃を想定した重装甲化と生産性を確保するための低ニッケル溶接装甲の採用。
・火力では75粍砲または火炎放射器の搭載、対新型戦車戦を見越した100粍↑砲の開発。
・機動では軽量な大馬力発動機の採用、無限軌道の進歩、より進歩した走行装置の搭載。 
 
などが挙げられている。どの話も当然といえば当然だが、この書き方は技術の進歩が日進月歩であったあの時代故のものだろう。最後に、将来の戦車像が描かれているがここでは「遠隔操縦戦車」「1000トン戦車」「一人のり戦車」、そしてどしどし改良の加えられた「新型戦車」出現が予想されている。

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「現代の戦争は、技術の戦である。この言葉は、いままで述べてきた戦車の性能を再び頭の中で分析することによってさらに深く印象付けられることでしょう。」の言葉で締めくくられる本コラムであったが、実際の戦闘を振り返ってみると強力な戦車をつくって配備するだけではなく、補給線をつなぐ工業力もまた求められていることが分かるのではないだろうか。
というのは21世紀に生きる我々の傲慢なコメントであるが逆説的に捉えれば「民間人といえども1943年の夏には独ソ米英の戦車開発の状況や具体的なスペックを知っていた」という事実が浮かび上がるのではないだろうか。
 
ほかのコラムでは、高速鉄道原子爆弾結核症に対する言及もあり良くも悪くも時代を先取りしているような感さえある。このような先進的な話題を提供する図解科学であったが、横浜事件によって出版は朝日新聞に引き継がれたのち、1945年の12月に廃刊となってしまった。改めて紹介するが、国立国会図書館にはまだまだ非常に気になる号も収録されているのでぜひ読んでもらいたい。
 
つづく

科学朝日 報道と解説 昭和20年1月1日号 「海外情報」「空母ノルマンディ」「B29の生産に大童」「敵米英の電波兵器」を読む

読者の皆様、新年おめでとうございます🍊。今年も本ブログをよろしくお願いいたします。発見と冒険に満ちた素敵な1年になりますように、心よりお祈り申し上げます。

さて、今回紹介するのは科学朝日 報道と解説の昭和20年1月1日号。1945年の日本人は、年はじめをどのような気持ちで迎えていたのか探るという意味を込めてみます。

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表紙

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ずら~と並ぶ戦車、プロペラの実験施設、砲戦車の図。明らかにあっちの国の絵柄しか載っていないような気もするが、気のせいではあるまい。次いでグラビア欄ではアルミニウムの製造施設と物資投下について解説している。

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海外情報

「大型機40と兵員1万を積載可能な空母ノルマンディ」に関する動向について写真入りで説明している。もとが客船であり防御力は脆弱、高速性をいかし兵員輸送に従事するという編集部の予想が載っている。なお実際は空母にはならず、終戦後に解体されたそうな。

「英軍護送空母の対空火器」護送空母"バットラア"(原文ママ)の対空砲と艦載機"スウオード・フィッシュ雷撃偵察機"(原文ママ)の図。正直言ってカッコイイ図。スターウォーズの1シーンと言っても差し支えないぐらいにはいい写真。

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「B29の生産に大童」最新情報によればボーイングB29「超空の要塞」の生産は米国各地の航空機工場で全能力をあげて生産を開始されているという。PB1"シーレンジャー"、B17"空の要塞"、B26"マローダー"といった機種の生産を打ち切り、生産ラインをB29のものに切り替えているとのことである。注目するべきはボーイングのシアトルとウィチタ、レントン工場のみならず、マーチン、マリエッタなどの会社でも生産しているということである。

「水上を走るブレン砲搭載車」ユニバーサル・キャリアが渡河する際に、浮揚装置を用いて水上を走っているという話。LAV25やAAV7、BMP-2型のような兵器がある21世紀からしてみればだからどうしたの というレベルかも知れないが歩兵の"機械化"に関する重大な一例であると言える。 

 

国内情報

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「新鋭電気機関車EF13 完成」「応急用の茅葺屋根」「地下施設委員会生る」など、決戦下における我が国の動向が報じられている。EF13は、簡易設計・短寿命の方針であったそうだが、なんだかんだで30年ほど使われたらしい。後年の科学朝日(昭和22年3月号)では、EF58型についても触れているあたり電車オタクが編集部にいた可能性も否定できない。

「敵英米の爆弾を暴く」この世界の片隅に案件。航空機から投下される爆弾についての記事。

敵米の爆弾はわが爆弾の威力と比較するときは恐れるに足らぬ。しかし爆弾である以上それは馬鹿にできぬ威力を持っている。したがって十分なる対策を知っていなければならぬ。退避すべきときは速やかに退避して、次の防空活動に備え、決して軽々に行動していたずらに我が国民としての尊い命を損じるようなことがあってはならぬ。という言葉がすべてを物語る。

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「時限爆弾」「破壊爆弾」「爆散爆弾」「科学爆弾」「火炎噴射弾」といった様々な種類の爆弾が使われており、外見は変わらないが能力と対策は別物であるとうことを伝えている。

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そのほか、電波兵器戦車運搬車について図入りで説明している。やはり戦場の機械化は日々成し遂げられているのである。(たぶん)

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海外からもたらされた小情報では「写真偵察もできる爆撃照準器」「戦場にあっても安全第一を願うヤンキー気質が現れた救命艇」「起重機で発動機装着」など。陸海空などいろいろな戦場においても機械化しているのだ。ボーファイタアってなんだよ。

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裏表紙では資源の節約を呼びかける東芝の宣伝。おそらく多くの人たちは兵器生活様で見たとおもうけど。 しっかしまあ、30ページという薄い本なみに薄い本なのであるが、例にもよって内容は異様に濃いものである。今のご時世でこんな本を書ける人がいるとは早々思えないし前人の視野の広さをうかがえる。

 

 あらためまして、本年もよろしくお願いします。

 

航空朝日 昭和19年3月号 「最近の海外航空事情」「改組された米空軍の全貌」「イギリスの空を飛ぶサンダーボルト」を読む

久しぶりの航空朝日ネタ。"図解科学"や"科学朝日"、そしていくつもの子供向け雑誌と戦中・銃後の暮らしネタは尽きることがない。今回は、久しぶりにメジャーな路線をネタにしていくつもりである。

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さて、この本が書かれた1944年の1~3月の出来事といえば「インパール作戦」「大陸打通作戦」「レニングラード解放」「トラック島空襲」辺りではないだろうか(wikipedia:1944年より)。そんな中、マニアックすぎる軍事雑誌は一体何を報じていたのだろうか今回の記事は一兵卒というよりも司令官になった気持ちで読んでもらいたい。

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アメリカ陸軍航空隊の完全独立への運動は、米空軍の異端児故ウィリアム・ミッチェルが十数年前にこれを提唱して以来、陸空軍内の熱心な一部の支持者によって継承されてきたが、たまたま第二次世界大戦の勃発とともに、すでに独立せる独・英両国空軍の活躍に拍車をかけられ、特に著名の航空評論家アレキサンダー・セヴァスキーを先頭とする民間側の独立空軍論にあおられて俄かに活発になってきた。"

”なお陸軍航空隊司令官アーノルドは、去る12月13日付けの命令をもって通信部隊、補給部隊、信号部隊などの付属部隊を全部航空部隊に正式に編入した。(中略) 今回の命令により直接アーノルドの指揮下におかれ、航空部隊の組織は一段と強化されるに至った。しかして今回の措置は、陸軍参謀総長マーシャルの許可を経てなされたもので、結局独立空軍編成への第一歩とみられている。”

「改組された米空軍の全貌」より

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アメリカ陸軍航空部隊の自治的組織への拡充を報じている。すなわち、米空軍の組織がより強固なものになるということだろう。また、米海軍航空部隊の編成についても書いてある。ここを読んでみると、米軍内部でも組織内のしがらみが相当あったように思えてくる。

(抜粋)

・アメリカ空軍は変化に富んだ気象条件・戦闘状況のもと作戦を続けなくてはならない。最悪な気象条件のアリューシャン酷暑と泥雨のソロモン海域砂塵を巻き上げる砂漠、豪州・ニューギニア、欧州、印度、中国、中部太平洋、米本土、南米沖海域。

これまでに経験したことのない困難な諸条件の下にあって作り出された航空機材の設計と、これらの搭乗員の多面性を是認するものでなければならない。

・B-17、B-24の採用は陸軍航空隊の成功であった。

・旧式のP39、P40は高高度作戦には不向きであった。

この上なく進歩の余地がなくなったP40

P39はソ連アリューシャンで威力を発揮、P40はエジプト戦線でMe109を威圧したのは事実だが、前述の論旨と矛盾している。これは戦術的な局面の際に基づくものであり今後研究されるべきである。

海岸防御という初期のアメリカの国防方針から、海外地域での航空戦への転換。

「アメリカの軍用機とその一般計画」より

 

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海外の軍用機を紹介するコーナーでは、PE-2(ソ連)、P-47サンダーボルト(アメリカ)、ホーカー タイフーン(英国)、P-38ライトニング(アメリカ)が紹介されている。クソが付くほど真面目な雑誌なんだが、アンコウ🐡やヒヨコ🐥のイラストが載っているのはなんなんだろう・・・。 

そしてこの本の一番の見どころは「米陸軍の現用機集」である。P39、P40に始まり、P47やP51が紹介されている。逆説的に考えれば、44年の春には日本の民間人といえどもこうした航空機が前線に出現していることを知り得たということでもある。

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巻末では映画「加藤隼戦闘隊」「タイ国空軍を語る」などの宣伝・対談も載っている。

どちらかと言えばこっちのほうが資料的価値がありそうなので画像を載せておく。

海外ニュース欄。「スーパーフォートレス B29」「月産600機を目指すウィローラン工場」「爆撃機射手を悩ますP47」などが紹介されている。

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"戦局日ごとに熾烈、敵はマーシャルの一部に上陸し、さらにトラックを襲ってひたすら日本本土への進攻を急いでいる。今こそ日本興亡の最重大時期に直面して我々も死闘を期している。"  (編集後記より)

米軍にとられた遠い南の島から発進した成層圏爆撃機が、日本本土の工業基盤を破壊し敗戦の要因を作ったいうのはまさしく歴史的事実ではないだろうか。

図解科学 昭和18年10月号 「新鋭兵器」を読む

集団戦車戦 といえばwotやwtあたりのネットコンテンツで日夜繰り広げられているが、まじめに考えてみるとどうなるのだろうか。

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中央公論社から刊行されていた科学雑誌「図解科学」でとりあげられているのを見つけたので詳しく読んでいきたいと思う。

「7月5日の早朝を期して始められた第三次独ソの攻防戦は、ビエルゴロド、クルスク、オリョールをつなぐ中部戦線に、技術の粋をつくした新兵器と膨大な兵力を投入して、相手を殲滅せずはやまないといった死闘の様相を呈していると報ぜられています」
「作戦が開始されるや虎戦車や新型重戦車の大集団を繰り出してソ連もT34、KW1、KW2で対抗していると報ぜられています」

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その後も足回りや兵装について色々述べている。
かくして話は第一次大戦のソンムとカンブレー会戦に遡り、戦車集団攻撃の威力と、補給線構築の重要性を主張している。
記事そのものも丁寧に書かれているのだが、宮崎駿じみたイラスト見過ごせない。
そんでもって機械化兵団の登場や治金技術の向上によるエンジン、走行装置の改良、装甲の増大に触れておりマークiからホイペット、そしてルノー軽戦車に至るまでの歴史を振り返ることができる内容となっていた。

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やがて話はポーランドでの電撃戦に移る。ドイツ軍の活動を振り返り、車載化歩兵旅団の出現により本格的な戦車集団戦車の時代が到来し、いまや「司令部」「2連隊からなる戦車師団」「車載化歩兵」「車載化砲兵」「車載化偵察部隊」「車載化連絡部隊」「工兵大隊」のそろう完全な機械部隊の必要性を訴えている。

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さらに、戦闘を効率よく行うための通信、工兵、水陸両用、火炎放射 などに特殊な戦車や空陸一体型の作戦、歩兵、工兵、砲兵との緊密な連携にも触れている。もちろんこれらの統合作戦を上手く進ませるためには強力な通信機や補給網が必要なのは考えてみたらわかる筈だが、そこら辺は特に書かれていない(笑)

後半では各国の有する戦車運搬車両、対戦車砲、駆逐戦車、対地攻撃機、戦車阻塞について書いている。そんな中で一貫している主張は「技術の進歩」であることを読者に感じさせる。37ミリ砲はもはや役に立たないものであり、やがて57ミリのものが76ミリ、ひいては88ミリにまで達したことを伝えている。

終わりでは「近代戦の特徴は質のみではありません。次から次へと消耗する莫大な量に上る兵器を、淡々と作り上げる大量生産と相まって、はじめて強大な戦力となって現れるのです。独ソの戦車戦は、同時に独ソの技術戦なのです。」という言葉で締めくくられている。

スペースの都合から割愛したが、この本ではほかにも「巨砲」「遅延爆弾」「暗視装置」についても解説が載っている。
今日の書籍と比較しても「図解科学」はためになるシリーズではあったが、例によって敗戦とともに廃刊となってしまった。
そして本の詳細は中央公論社の中の人ですら知らないという状態になったとか…。

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つづく

タモン、らんたん、寛永でミッションエディットルコ爺 in ARMA3

今回は身内ネタでARMA3のエディットを解説する。

今日作るシナリオは「自走砲群による準備射撃のあと、友軍を空挺降下させる」というお話。およそプレイ時間15分くらい。

 

1.準備砲撃の仕方

ユニット名前+doArtilleryFire[座標,"弾薬名",発射する数];

これをトリガーなりウェイポイントのOn act欄に書くと達成時に攻撃が行われる

(例)  tamon doArtilleryFire[getMarkerPos"marker_SAM","12Rnd_230mm_rockets",12]; 

"8Rnd_82mm_Mo_shells"→迫撃砲

"32Rnd_155mm_Mo_shells"→自走砲

"12Rnd_230mm_rockets"→多連装ロケット砲(NATOのみ)

一定の地域に撃つならマーカーを設置し、「getMarkerPos"マーカー名"」にすると楽。当然、風で弾が流されるから目標が遠くなるほど命中精度は落ちる。

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2.空挺降下

Simple ParaDrop スクリプトをつかう。

兵隊をヘリに乗せて、投下したい場所のウェイポイント欄に

_drop =[(ヘリの名前),(落下傘を開く高度)] execVM "scripts\eject.sqf";

と入れたら兵隊が降下する。もっとも、絵的にはきれいだがバラバラになるのがオチなので味方とか敵部隊増援の時に使うといい気がする。

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3.死ににくくなる設定(MOD)

Sunday Reviveの導入。適応したい部隊にシンクロしたらいい。

目に見えて部隊の損耗が改善する。

Steam Workshop :: Sunday Revive

MODの数は山ほどあるので気にしていたらキリがないよ~。

とりあえず、色々ためてみたらいいと思います。

以上。

 

科学朝日・報道と解説 2605年5月1日号「ソヴェトの新戦車、"パーシング将軍"、上陸作戦機材ポンツーン、イギリスの護送空母」

東京が焼け野原となって、その焼け跡が寂びたり錆びたり、金属製にしていた電車の架線柱が燃えずに済んだりしている中でも国民のための分かりやすい科学雑誌は発行され続けたのだ。今回はパーシングM26パーシング、JS122スターリン、SU152、T34-85が紹介されている当時の雑誌を入手したので紹介したい次第である。

表紙はウラル地方へ疎開を果たしたタンク工場だ。戦車の町こと「タンコグラード」なんて呼ばれているという噂である。国内ニュースでは竹製の防弾チョッキ、ジャイロ平衡試験機、電磁力を使った釘打機、疎開地の材料で防空壕を補強する技術ができたことを伝えている。いよいよ本土決戦が迫っている感がある。

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しかしここで一番紹介したいのは海外ニュース・新兵器の欄といえる。「米国の新戦車・パーシング将軍」なんて書いてあるのだ。以下本文より「ドイツの虎戦車に対抗するために設計されたもので、今次大戦におけるもっとも有力な兵器の1に数えるを得るべく米軍としても最強の戦車である」「重量は40トンほど。75トンの虎王戦車は泥沼にあえば動きが取れなくなる。なお、要部の装甲は普通戦車より4尺厚いという。」

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この記事は文章しか載っておらずなんとも言えないが、情報だけはあったと思うと編集陣の意地を感じないわけにはいられない。

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しかし、1戦車ゲームプレイヤーとして本当に読むべき場所は巻末グラビアのソ連戦車解説である。「機甲戦を誇るソヴエト軍は莫大な戦車勢力を戦線に投入し、火砲の威力と相まって強引な突破力を発揮しているが、独ソ開戦当初突如戦線に出現、その画期的性能においてドイツ軍はもちろん、列国を驚かせたT34とKB1があった。」「T34中戦車は装甲、武装、機動性能など戦車としてのすべての性能を満足せしめた調和のとれた優秀な戦車であり、開戦以来現在に至るまでなお実用せしめられている。」

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なんというか、大絶賛である。砲塔は鋳鋼製であること、火砲が85粍砲であること、履帯幅が広く接地圧が減じられているので通過能力が高いことにも触れており、非常にわかりやすい。一方で、JS122戦車も装甲圧と機動性と生産性と火砲のすべてのバランスがいいことが記されている。

もっともいずれの車両も居住性人間工学性に(狭いから操縦していてシンドクなるとか、分かりやすい照準器を積んでるみたいなこと)はまったく触れてないあたり大日本帝国を非常に感じるコンテンツであった。

 

さて、今回の雑誌はわずか20ページでおわり。ポンツーンや代用燃料あたりはネタになりそうなのでまた今度気力があれば書いてみたいと思いました。しっかしまあ、このT34やJS122が画期的な性能を持っているせいか、対戦ゲームで猛威を振るうようになるなんて誰が想像したのやら。

航空朝日 第四巻二号 特集・鹵獲敵機の研究(白ハゲの漫画もあるぞ)

メンフィス・ベルとかWarThunder、あとシヴィライゼーションなど諸々のコンテンツにおいて猛威を振るっているボーイング重爆[空の要塞]。このたび、該当機に関する詳細な資料を入手したのでご紹介させて頂く所存である。

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今回取り上げた本では、日本軍がマレー方面に進出した際に敵基地から回収した航空機の分析がメイン記事となっている。ホーカー・ハリケーン、カーチス・P40E、ブリュースター・バッファロー、ダグラスA-20、ボーイングB-17、ダグラスDC-5に関する詳細なデータや図が載っている。戦闘機に関する話はwikipediaなり個人サイトなりで各々調べたらいくらでも出てくるからいいとして、今回は問題の「空の要塞」について詳しく書きたいと思う。

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以下、記事よりボーイングB-17の特徴をあげる。

「排気タービン式過給機の仕様により、飛行高度を7600米まで引き上げ、高空性能を良好にする。設計当時の時代としては高翼面荷重と対向翼断面を採用している。タブ操縦方式により、大型機としては操縦は容易。性能良好な油圧と電気装置を仕様している。燃料系統が独立している。操縦席まわりのまとまりがよい。耐油ゴムにより耐火・防弾能力は高い部品の互換性が高く、修理や整備は簡単。」

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白ハゲの図。B-17を運用するには多くのクルーが必要なことがわかる。

どうやら、皇軍荒鷲とは対照的なところがチラホラ見受けられるようである。

装備の詳細を見てみよう。

「武装 最大で約1900キロの爆弾を搭載可能。電気式投下装置、手動投下装置、操縦席の非常投下装置から制御ができる。特徴は操縦装置またジャイロと一体化したM1照準器である。操縦と同時に照準を行い、所定の投下角に達すると自動的に爆弾が投下される。自衛武装は7.7mm機銃1門と13mm機関砲6門。射角に問題があり、実戦では役立たぬ。」

「消火装置 機内消火器と炭酸ガスによる気化消火装置の二系統」 

「酸素装備 充填式酸素瓶が18個。約14800立で個々の破損があっても支障がないようになっている。」 

このほか、自動操縦、マーカービーコンを備えるが紙面の都合で割愛されている。

どうやら、冗長性が高いように思える。一方で締めには「米英軍用機は、彼我の個人主義的思想を表徴した消極的防衛力の増強に重点をおいている。(中略)いたずらに全備重量を増大させ、軍用機の生命たる主要性能を犠牲とし、優秀な我が空軍の好餌となったことは哀れというも愚かなる次第である。」とのコメントが載っている。個人的には、これこそが日本敗因の一つといっても差支えないのではないだろうか。

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で、別のページには「B-17は防御力が高い代りに航続距離が犠牲になっている」とか、「エンジンが1発しか動かなくても飛行は継続可能」みたいなことが載っている。

でよく見ると「少数の[空の要塞]ならば我が新鋭機の好餌となるのは明らかであるが、多数の[空の要塞]が1万メートルで来襲するのであれば相当の警戒を要する」と割と先のことを見据えたコメントがある。技術の進化は日進月歩を感じずにはいられない気もする。

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白ハゲ図その2。機銃がいたる箇所についているが、中には現地でオリジナルの改良を行った機もあったという(例:オールド666)

以上が、B-17に関連す2つの記事である。この本にはほかに「敵機解説(2)」「満州航空界見聞記」「米空軍を推進する人々」といったコラムがあるが説明を割愛する。

しかし、メンフィス・ベルに出るB-17 G型 はこれらC,D,E,Fのさらなる改良型である。

どこが違うかは、また今度書きたいとおもいます。 

 

B-17がB-29になり、B-47がB-52になり、そしていまでも相当数のB-52が運用されていることは特筆に値する事象ではないだろうか。

それではまた。