兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

オタク、WarGame Red Dragonをやろうよ(中編)

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前回の記事ではRTSの始祖となった「コマコン」を紹介したが、今回はミリタリー系ハードコアRTSの始祖を紹介したいとおもう。コマコンはめちゃくちゃ爽快感があり、資金管理や生産期間といった概念、さらにはど派手な実写映像がついてくる。が、お世辞にもリアルとは言えないコンテンツであろう。弾丸が飛び交う戦場に突撃する兵士は心を病むハズであるし、故障や天候といった「戦場の霧」と呼ばれるランダム要素には欠ける気もする。

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さて、ここに紹介するのは「コンバットミッション・ビヨンド オーバーロード」(2001)である。このゲームは色々とすごいのだ。まず、フルCGの戦闘シーンである。色々な角度から兵器や兵士を見ることができるのであたかもジオラマを眺めているような気分を味わえる。

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次に、ゲームのシステム。このゲームも確かにRTSである。しかし、ターンベースとの融合を果たしているのだ。具体的に説明すれば、「指示フェイズ」→「行動フェイズ」という具合に動く。これはすなわち操作と戦場の監視の両方に集中することが可能となったのだ。反枢軸軍新鋭タンク「シヤーマン将軍」や独新鋭「虎」、「熊蜂」、「76.2粍自走対戦車砲」の活躍をじっくり見れるぞ。

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もちろん歩兵も視界をとったり囮になるという意味では重要な役割を担う。戦車は数両しかマップに配置されていない。派手な戦車戦ができるゲームではあるが、やはり歩兵が主役だ。茂みから「バズーカ砲」や「戦車拳骨」更には支援砲撃が飛んでくることもある。(もちろん伏せている歩兵は戦車といえども仕留めにくい)

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ちなみに、先ほどのシステムを使って、1台のPCを代りバンコで操作することで2人対戦が可能だったりする。(戦車がすきな)友達が増えるね!!やったーーー

まあなんというかこのゲームも例によってシビアなバランスだったりする。一発の攻撃がゲームの行方を変えるのもザラなのである。正直言って負けても恨みっこなしの根性で遊ばねばならぬ。

もっともゲームの要求スペックも少ないし、値段もそんなに高くないのでゲームの歴史を知りたい人も第二次世界大戦で総活躍したい人も、或いは戦場ジオラマ気分を味わいたい人もそれぞれ遊んでみては如何だろうか。 

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高解像度テクスチャや兵器バリエーションを追加するMODもあるらしいよ。

ぜひ遊んでみてね。


つづく。

オタク、WarGame Red Dragonをやろうよ(前編)

WarGame Red Dragonというミリタリーアクションが人気らしい。

同ゲームは自分だけの旅団を編成して戦うRTSである。

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自衛隊の61式やブルドッグ、またダスター対空砲といった旧式兵器を操作できる非常に貴重なゲームである。しかもボイスも日本語なのである。

だが、当ブログはそういったメジャーコンテンツばかり紹介するものではない。

ここに紹介するのはRTSの始祖ことコマンドアンドコンカーである。

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さて、その「コマコン」のHTML版というものが遊べると聞いて遊んでみた。

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米軍っぽい正義の「国連軍」とスキンヘッドオヤジ率いる悪の「テロ組織」の戦いらしい。シナリオは双方が用意されている。

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基地や兵士、戦闘車両を展開しマップを攻略するのだが

「ギエエエエエ!!」「ミチミチミチ」という断末魔が聞こえる。バカゲーに近い。

歩兵戦力を集め、機関銃陣地に突進していく様は涙なしに見れないのだ()

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シナリオの合間にはコスプレをしたオッサンの動画が見れる。

無駄に気合が入っている。これだけで一時間以上のボリュームがある。(気がする)

FPSにしてもイケそうな最近のRTSに対して、ドット絵+実写という「コマコン」を比べることで新しく感じることもいくつかあるのではないだうか。

www.adityaravishankar.com

そういえば、エースコンバットZEROのドキュメンタリーパートは実写だったなぁ.. 

エスコンもストラテジ系の派生作とか出したらいいのに

 

つづく

モンスター・ハンター(っぽい何かの話)

時に2017年、宇宙人そしてUFOに対する世間の関心は高まる一方である(うそ)

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よってここに、対異星人戦闘シミュレーション「Xenonauts」を紹介する。

スチームかGoGで買えます。

冷戦下、突如として出現したエイリアンに対抗するべく戦闘チーム「Xenonauts」を編成し、キャラを育てたり武器を作ったり、解剖してテクノロジーを得たりするゲームだよ。

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編成画面。ショットガンや対戦車ランチャー、軽機関銃といったお馴染みの武器で異星人に対抗できるのだ。というかこの人たちアーマーつけなくて大丈夫なの?

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ヘリコプターに乗って戦場に行くのである。

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レーダーで補足→戦闘機で撃墜→陸戦隊を派遣→物資を回収し解析→戦力アップ

が基本的な流れである。

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物陰から現れるエイリアンに射殺されるなんて日常茶飯事。戦場は地獄だ。

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エイリアンの死骸を解剖して解析すると強い武器が手に入る・・・かも。

硬派なゲームで遊んでみたかったり、AARを書くのが好きな人はおすすめします。

MODも山ほどあるので周回プレイが熱い。

しかも続編も開発中。 やるしかないね。 

store.steampowered.com

ばいばい。👍

航空朝日2605年5月1日号[最近の航空兵装][飛行艇の将来]["空の要塞"改装本部]

硫黄島の陥落と沖縄侵攻が始まった2605年4月であったが、戦意高揚と知識普及のため、相変わらず航空朝日は発行されていた。さて、5月號にはどういった話題が載っていたのだろうか精査していきたい。

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冒頭グラビア。フィリピン島で編集長が撮影した写真が多数。なおこの後11月まで編集長は音信不通となる。

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日米双方の最新型航空機。

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「警戒するべき爆撃機:/7:硫黄島失陥により本土来襲間近しと予想されるB24の最新型J型」。あまりにも悲しすぎる一文である。

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特集「最近の航空兵装」。第二次世界大戦のヒコーキの武器なんて、「戦闘機はマシンガンをジャンジャン撃って、地上にはロケット弾を発射して、爆撃機で爆弾をドーン!」 と思っていた人間であったがどうやらもっと別な取り組みが行われていたようである。「我が国にあっては航空兵力の劣勢をもってして敵を撃擢するために、特攻隊につぐ特攻隊を持ってし、爆撃機あるいは戦闘機に爆弾のみ抱えて敵艦船に尊き肉弾攻撃を行い、B29の本土空襲に際しても時には体当たり攻撃を持って壮烈なる戦闘が繰り返されつつある 」

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外紙からの翻訳コラムでは、"飛行艇の将来"や"B17の強化計画"に関するエピソードが載っている。前者には「航空機による戦後の世界経済制覇を企画して、米英の間では早くも熾烈な前哨的論破が行われている」なんていう編集部コメントがついている。文章中には大変味のあるイラストも載っているが、転送容量に都合により一部を割愛させて頂く。

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"飛行艇の将来"より。有望論と不要論の2つが紹介されている。

 

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B-17強化計画の話。人口1万4千の典型的な農村であった「ワイオミング州シャイイン」に航空機改装工場が出来てから司令部が置かれ今や人口が4万人を超したという。

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射撃管制システムや電装品を同盟国の仕様に変更したり、特殊地域に適した変更が行われている。本文中にはこうした改装は「大量生産方式とは極端に標準化された方法であり、特殊な戦闘や地域での運用や最新の変更を加えるためには改装本部を置くことで時間節約になる」ということである。また月60機を超すペースで稼働している工場にて働く従業員の息子/娘の中にはシャイインにて改装をしたB17に乗っている者もいるという。

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巻末の最新海外航空機ニュース。空母ミッドウェーの進水、Tu-2型爆撃機の出現、10トン地震爆弾の実戦投入、ダグラス社の戦後計画 などが報じられている。

 

というか、IL-2の写真をPE-2と紹介しているぞ?

 

五月の雑誌はこの42ページで終わりである。いつもと変わらないぐらい濃い記事が続いたが、この本はなぜかページの大きさが統一されておらず、製本品質が非常に悪い。そして表紙と裏表紙が青インクで印刷されている。 なにがあったのだろうか・・ (つづく)

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表紙。イラストはハシビロコウではない、クジャクだ。

科学朝日1945年10月1日号[わが秘匿兵器の覆面を剥ぐ][原子爆弾と未来の戦争][スピードへの本能]

まさかの終戦後ネタ。

どうやら敗戦と同時に多くの情報が民間に出回るようになったようである。

今回はそんな一冊を紹介する。

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日本軍の秘匿兵器である。

戦時中、兵器に関しては性能はおろか名前すら隠すレベルであった我が国の防諜体制であったが、戦争が終わったらいきなりこんな記事が出るとは思わなかった。

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さて、ここに日本軍の開発した科学新兵器たちを紹介する。

「フ號兵器」"気球爆弾"・・・亜成層圏の西風にのせ爆弾を気球とともに北米大陸へ飛行させるというもの。根室宮古、銚子から発射されたという。40ワット発電装置と破壊/焼夷爆弾を搭載し北米上空で自爆するというものだったとか。 

「ケ号兵器」"グライダー爆弾"・・・風任せではなく、自動的に目標へ突進する爆弾。放射線測定器をベースにした熱センサーを搭載し敵船舶へ打撃を与えるものだったという。「ケ」は決戦の意味であると推測されている。

「レ號兵器」"魚雷艇"・・・爆雷を搭載した一人乗りの小型艇。同時に大量に敵艦へ殺到し、急速反転することで水中爆発により大打撃を与えることを目的にしたと言われている。"対波性で劣る小型舟艇では積極的に機動できない" "上陸地点の変更が行われたら待ち伏せの意味がない" "上陸の以前に偵察がおこなわれ、準備爆撃に合えば一たまりもない" という散々な兵器であった。

「トク號兵器」"殺人光線"・・・極超短波を用いた兵器。距離30メートルにて10分かかりネズミ一匹を殺す程度の威力しかなかった。

「各種ロケット弾」・・・中型砲弾から対戦車ロケットまで多種多様なものが製造・配備された。当然ゆるやかに燃焼し、爆発せず、一斉にもえる性質をもった火薬も研究された。なお現地の部隊には離陸補助ロケットに爆薬をつけた即席ロケット弾を用いた部隊もあったらしい。

「さまざまな特攻兵器」・・・先の対戦車ロケットを補佐する対戦車兵器たち。"刺突爆雷"、”手投爆雷”、"円錐爆雷"、"半球型爆雷"、"手投げ火炎瓶"など多数が生産された。モンロー・ノイマン効果を利用し敵戦車の弱点に当て撃破することを目的としていたが、米軍が対策として随伴歩兵の強化や戦車に網を張ると効果がなくなり、却って損害が増大したという。

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航空機について。

単座戦闘機「零戦」が奮戦したことを伝えるが攻撃の要である四発重爆の開発遅延が航空決戦の敗因と解説している。しかし、航空艤装の完成度が低いこと、材料の不足、設計の失敗についても言及している。

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雷電」、「震電」、「銀河」、「連山」、「秋水」、「橘花」がイラストつきで紹介されている。

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読み物「原子爆弾と未来の戦争」(ライフ誌からの翻訳)。どのような手段でも迎撃ができないV2號のようなロケット兵器、一撃で都市を爆砕できる原子爆弾がこれまでの軍事戦略を完全に変えてしまったことを「攻撃の窮極的な勝利」と表現している。一方で原子爆弾やロボット、ロケット兵器、長距離砲は人間が住み、また人間生活の根源たる土地を占領確保し、組織化することはできない」「都市は地下深くに建設されるか、分散しなければ原子エネルギーの集中的攻撃の下で生存することは不可能」と説いており、意外にもアメリカ側が弱気になっていたりする。もっとも、どこにも放射性物質がまき散らされるとは書いていないが。

「新生科学日本に寄せる」(日本再建へのコメント)と「海外時報」。悲しい話題が続いた一冊ではあったが、「無限にむかうスピードへの本能」においては「遊星の回転する大宇宙への旅行にはやがて新しい動力源が必要だろう。それは、この世紀の申し子、原子エネルギーであろう。」という未来を見据えたコメントが載っているのがせめてもの救いである。

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10月号はこの30ページでおしまいである。ちなみに、11と12月号は合併版だったりする。

航空朝日2605年7月1日号[B29のレイダー][P47見聞の記][最近の海外航空事情]を読む

太平洋戦争(大東亜戦争)が終わる直前もしくは終結直後に出回った軍事雑誌が届いたので読んでみることにする。表紙イラストはリュウグウノツカイではなくホウボウである(指摘があるまで鴨だと思っていた)。創刊から約5年、発行は内地+満洲+台湾をカバーしているものの、全31ページというもはや同人誌のような薄さになってしまった軍事雑誌である。今回はなかでもインパクトのある写真を真っ先に持ってきました。

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1面特集はB29のレイダー。電波兵器の出現により、航空機は時間や気象を問わずしてミッションを遂行することが可能となり「威力」はより一層増大してことを説いている。電波兵器と一口に言えども「警戒機」「標定機」「暗視機」「探索機」「友軍識別機」「電波妨害機」「誘導機」「航法用機材」など様々なものが実戦投入されているというのだ。「Radio Detection and Aircraft Ranging」(電探/レイダー)を搭載したB29が雲上や夜間を問わず爆撃をおこなう仕組みを解説している。地形や都市部、船舶が手に取るように硝子の円盤に表示される装置をわかりやすく説明している。

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2面記事の「P47見聞の記」では45年2月に漢口で不時着した[P-47D サンダーボルト]の詳細な解説を載せている。「アメリカ陸軍戦闘機の三羽鳥ともいうべきP38、P47、P51の中の一つのP47が、こんな平凡な戦闘機であったというのが第一印象であったからである。」とのコメントと機動性を犠牲にしつつも防弾性や生産性を重視しているとの論調。主翼、エンジン、プロペラについて3ページに渡りレビューしている。ちなみにP-47は「パンツァーフロント」で執拗に爆撃してくるアイツです。

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そのほか、外紙の翻訳記事には「大馬力発動機」「航空写真」「B29に協力する科学部隊」「部品の統一」「プロペラ修理の実情」「ロッキードの気圧/液圧装置」など思いのほか充実している。巻末連載コンテンツの最近の海外ニュースでは「世界一周旅客機」「過剰航空機を教材に」「ホーカー・タイフーン」などを報じている。写真では「新鋭艦上爆撃機「P47」「PBYコロネードー」「PBY5Aカタリナ」の写真が掲載されている。

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さて、今回の本は195年7月1日号なのだが本文中において広告に不自然なもやがかかっている。おそらく、印刷の過程において差し止めが行われていたのかもしれない。「コンサートン受信機」の宣伝がなんだか可哀想になっている一方で「ヘモロス」と「ミナト式」は削られていないのが諸行無常を感じる。そして電球に関しては「ご家庭用は少なくなる」とは言ってないのだ。

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当たらめて考え直してみると、この本の回覧欄に名前が書いてあることをみたことがないあたり、読者層がどういった人物なのか伺えるような気がしなくもない。

 

ガルパン x ココス のコラボについておもうこと(戦車の種類、すっきり又は視覚的どっきりネタあり)

あの大ヒット戦車まんが「ガールズアンドパンツァー」とココスがコラボするらしい。ブログ読者の諸兄におかれては、これを機に戦車について再学習しておくのも有意義であると思い、ここに第二次大戦にて活躍したチャーチル、クルセーダー甲/乙、ゼネラル・シャーマンおよび自走砲群の資料を提示する。(公式より引用,なお小生の住んでいる地区にココスがないという事情も汲んでいただければ幸いである)

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こちらが問題の書である「科学朝日2604年6月号」だ。特集はポムポム砲の構造、ロケット新兵器、グラビア"陸軍鉄道部隊"、戦車と自走砲である。(全50ページ)

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(本文要約)「戦車の設計上、重量および容積はまづ輸送船に積載される場合は起重機、船、鉄道、道路の関係より制約を受ける」という今日でも割と重要なことが書いてある。具体的には英軍は機動力を重視した巡航戦車[クルセーダー甲/乙]と歩兵支援のため装甲・武装強化を図った歩兵戦車[チャーチル]の概要を書いている。一方で合衆国では工業力にものを言わせ装甲、火砲、機動力の三要素を追求した[ジェネラル・シャーマン]型が主力として使われているとのことである。このほか、重量60トン、装甲240ミリを持つ[M1重戦車]を宣伝しているが重量の多い戦車は不都合が多く、"何所で使用する積もりかといいたい"と言われている。一方で「大陸続きの戦線なら船に積む必要はない。道路/橋脚の強化と接地長を大にすることで重量の増加が許される傾向にある」との指摘をしている。これにより日本の戦車がなぜコンパクトなものが多いかお分かり頂けるのではないだろうか。独虎戦車が潜水渡河を可能とし、米軍が渡河機材を用いていることも言及しており、またこれらの傾向から今後は50~60トンクラスの戦車が主流になるとの予測まで書いている。

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戦車に随伴する自走砲群。生産と補給を簡易化するために共通の部品を用いていることを指摘している。なお、自走砲と砲戦車の区別は議論されているが、砲塔を自由に回転させることができるものが砲戦車、そうでないものが自走砲と定義されている。しかし、実際には判然していないとか。(これが今日のミソとなるネタだとおもいます)

装甲師団の支援砲兵用としてM10砲戦車、M7自走砲、M12自走砲の三種類があげられていた。それにしてもこの4ページで機動力を有する加農砲の優位性、および戦争遂行のための工業基盤の必要性を説いており、皇軍の事情を考えるといささか不安になってしまう。

以下、その他のページの解説をおこなう。表紙↓

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英国の対空砲「ポムポム砲」解説。

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グラビア欄。日本軍鉄道部隊。

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科学者x当局の一問一答コーナー「工夫の余地はないか」。今回は防空待避所の検討。下の写真が竪穴式住居にしか見えないが、どうやら底が深くなっているらしい。

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英米軍の貨物船改造空母について。

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海外ニュース欄。イタリア戦線にて人間魚雷投入(搭乗員が魚雷からどのようにして離脱するかは不明)、遠距離操縦式豆戦車の登場、スツーカに37mm砲搭載とのこと。

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巻末広告欄。富士ネオパンと東芝東洋紡スポンヂ。(以下ドッキリネタかもしれません)

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裏表紙も東芝マツダランプ。航空機、灯火管制のイラストと

光を漏らすな!

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正直、この色使いはビックリする。(届いたときの茶封筒を開けてこれだったので猶更おどろいた)

「二割節して明るい」がこれになり、その後「真夏の夜の太陽」「あかるいおうちはマツダランプ」(第23回 毎日広告デザイン賞)になるのだから世の中何が起こるか分からないのも頷ける。

さて、読者諸氏におかれては戦車の能力もまた国家の工業力が大きく反映される点を深く噛みしめながらココスの食事を食べていただきたい次第である。