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外商部員59号の日記

フライトシマーの備忘録。都市開発、シミュレーションゲーム、コスプレがすきです。

航空朝日 2605年3月号 "B29設計の検討" "米空軍は何を爆撃するか" "最近の海外航空事情" を読む

投票の結果に鑑みて今回の調査はB29特集と致します。

というわけで航空朝日 昭和20年の三月号を引っ張り出してきた。

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この表紙スタイルは1944年の3月から始まった白黒刷りのものである。以前は表紙が総天然色であったが、今回はどう考えても資源が欠乏しており、悲壮感を感じずにはいられない。早速中身を確認する。

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「B29が飛んでいるのをみて、敵ながら美しいとか清楚という人がいる。それに対して筆者は意義を申し立てたいと思う。(中略) B29の美しさも、結局は有機ガラス製品の感じでしかないのだ。それをいつの間にか形態まで美しいと、錯覚を起こしているのである。」  

上部のイラストと強烈な文章に頭がクラクラする。しかしながら、中身は非常にまじめな文章が続く。諸元性能(推測を含む)やB17、ストラトクルーザー機(ボーイング製亜成層圏輸送機) との比較を経て特徴を冷静に分析している。

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翼幅、全長、翼面積、主翼縦横比、プロペラ直径、エンジン、重量とその配分が載っている。また空力特性と燃料効率、主要戦術に関する考察もされており大衆向け雑誌としては珍しく感情論や精神論からは距離を置いている。(筆者は東大准教授といった事情も絡んでいるのだろうが)

「正規全備50~55トンは妥当であり、60トン或いはそれ以上の過重重量での運用は強力なフラップによって離陸速度を下げるか補助ロケット推進で推力を増加するなどの方法を用いらなければ到底実用にならないと思われる。全備重量、燃料搭載量、空力特性、プロペラ効率、燃料消費率 これらが分かれば航続距離を計算できる。(中略)一万メートル内外の高高度で侵入してくるのは、わが軍の防空戦闘機の激しい攻撃を避けるために他ならぬ。おそらく、マリアナ基地から本土に至るコースの過半は3~4000メートルで飛行し、本土に近接するとともに高度を上げてくるのではあるまいか。」

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(第十七ページの図)

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日本がほとんど作れなかった過給タービンのはなし。

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航続距離の延長を可能とする落下燃料タンクのはなし。

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タイム誌の転載記事と米軍の目標選定に関する話。 

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巻末の海外飛行機ニュース。Ju-88の改良型、英6トン爆弾(トールボーイ爆弾)などのニュースが載っている。

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裏表紙。あやめ池遊園地(関西の知り合いは知らないといっていたが)、マツダランプ 東芝グンゼ、わかもと 。「回覧で活用 一冊を百冊に」なんて書いている。"昔は本が貴重だった"を地で行く情勢ゆえに借りパクされた人も居るのではないだろうかと心配してみる。(200の鉛筆書きは買い取り価格か)

 

以上、大戦末期の軍事雑誌を読んでみた。本号は珍しく極めて真面目なことが書いておりいい意味で期待を裏切られてしまった。もっとも家で飲酒をしながら翌月の"大型爆撃機必勝論"やダグラスB-19、ストラトライナー亜成層圏輸送機の資料と併せて読むことが出来るのは現代人の特権に違いない。

 

さて、奥付には昭和20年3月1日発行と書いてある。 10万人以上が犠牲になった東京下町大空襲が起きる直前の話であることは歴史の皮肉なのだろうか。