兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

ガルパン x ココス のコラボについておもうこと(戦車の種類、すっきり又は視覚的どっきりネタあり)

あの大ヒット戦車まんが「ガールズアンドパンツァー」とココスがコラボするらしい。ブログ読者の諸兄におかれては、これを機に戦車について再学習しておくのも有意義であると思い、ここに第二次大戦にて活躍したチャーチル、クルセーダー甲/乙、ゼネラル・シャーマンおよび自走砲群の資料を提示する。(公式より引用,なお小生の住んでいる地区にココスがないという事情も汲んでいただければ幸いである)

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こちらが問題の書である「科学朝日2604年6月号」だ。特集はポムポム砲の構造、ロケット新兵器、グラビア"陸軍鉄道部隊"、戦車と自走砲である。(全50ページ)

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(本文要約)「戦車の設計上、重量および容積はまづ輸送船に積載される場合は起重機、船、鉄道、道路の関係より制約を受ける」という今日でも割と重要なことが書いてある。具体的には英軍は機動力を重視した巡航戦車[クルセーダー甲/乙]と歩兵支援のため装甲・武装強化を図った歩兵戦車[チャーチル]の概要を書いている。一方で合衆国では工業力にものを言わせ装甲、火砲、機動力の三要素を追求した[ジェネラル・シャーマン]型が主力として使われているとのことである。このほか、重量60トン、装甲240ミリを持つ[M1重戦車]を宣伝しているが重量の多い戦車は不都合が多く、"何所で使用する積もりかといいたい"と言われている。一方で「大陸続きの戦線なら船に積む必要はない。道路/橋脚の強化と接地長を大にすることで重量の増加が許される傾向にある」との指摘をしている。これにより日本の戦車がなぜコンパクトなものが多いかお分かり頂けるのではないだろうか。独虎戦車が潜水渡河を可能とし、米軍が渡河機材を用いていることも言及しており、またこれらの傾向から今後は50~60トンクラスの戦車が主流になるとの予測まで書いている。

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戦車に随伴する自走砲群。生産と補給を簡易化するために共通の部品を用いていることを指摘している。なお、自走砲と砲戦車の区別は議論されているが、砲塔を自由に回転させることができるものが砲戦車、そうでないものが自走砲と定義されている。しかし、実際には判然していないとか。(これが今日のミソとなるネタだとおもいます)

装甲師団の支援砲兵用としてM10砲戦車、M7自走砲、M12自走砲の三種類があげられていた。それにしてもこの4ページで機動力を有する加農砲の優位性、および戦争遂行のための工業基盤の必要性を説いており、皇軍の事情を考えるといささか不安になってしまう。

以下、その他のページの解説をおこなう。表紙↓

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英国の対空砲「ポムポム砲」解説。

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グラビア欄。日本軍鉄道部隊。

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科学者x当局の一問一答コーナー「工夫の余地はないか」。今回は防空待避所の検討。下の写真が竪穴式住居にしか見えないが、どうやら底が深くなっているらしい。

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英米軍の貨物船改造空母について。

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海外ニュース欄。イタリア戦線にて人間魚雷投入(搭乗員が魚雷からどのようにして離脱するかは不明)、遠距離操縦式豆戦車の登場、スツーカに37mm砲搭載とのこと。

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巻末広告欄。富士ネオパンと東芝東洋紡スポンヂ。(以下ドッキリネタかもしれません)

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裏表紙も東芝マツダランプ。航空機、灯火管制のイラストと

光を漏らすな!

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正直、この色使いはビックリする。(届いたときの茶封筒を開けてこれだったので猶更おどろいた)

「二割節して明るい」がこれになり、その後「真夏の夜の太陽」「あかるいおうちはマツダランプ」(第23回 毎日広告デザイン賞)になるのだから世の中何が起こるか分からないのも頷ける。

さて、読者諸氏におかれては戦車の能力もまた国家の工業力が大きく反映される点を深く噛みしめながらココスの食事を食べていただきたい次第である。