兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

航空朝日2605年5月1日号[最近の航空兵装][飛行艇の将来]["空の要塞"改装本部]

硫黄島の陥落と沖縄侵攻が始まった2605年4月であったが、戦意高揚と知識普及のため、相変わらず航空朝日は発行されていた。さて、5月號にはどういった話題が載っていたのだろうか精査していきたい。

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冒頭グラビア。フィリピン島で編集長が撮影した写真が多数。なおこの後11月まで編集長は音信不通となる。

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日米双方の最新型航空機。

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「警戒するべき爆撃機:/7:硫黄島失陥により本土来襲間近しと予想されるB24の最新型J型」。あまりにも悲しすぎる一文である。

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特集「最近の航空兵装」。第二次世界大戦のヒコーキの武器なんて、「戦闘機はマシンガンをジャンジャン撃って、地上にはロケット弾を発射して、爆撃機で爆弾をドーン!」 と思っていた人間であったがどうやらもっと別な取り組みが行われていたようである。「我が国にあっては航空兵力の劣勢をもってして敵を撃擢するために、特攻隊につぐ特攻隊を持ってし、爆撃機あるいは戦闘機に爆弾のみ抱えて敵艦船に尊き肉弾攻撃を行い、B29の本土空襲に際しても時には体当たり攻撃を持って壮烈なる戦闘が繰り返されつつある 」

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外紙からの翻訳コラムでは、"飛行艇の将来"や"B17の強化計画"に関するエピソードが載っている。前者には「航空機による戦後の世界経済制覇を企画して、米英の間では早くも熾烈な前哨的論破が行われている」なんていう編集部コメントがついている。文章中には大変味のあるイラストも載っているが、転送容量に都合により一部を割愛させて頂く。

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"飛行艇の将来"より。有望論と不要論の2つが紹介されている。

 

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B-17強化計画の話。人口1万4千の典型的な農村であった「ワイオミング州シャイイン」に航空機改装工場が出来てから司令部が置かれ今や人口が4万人を超したという。

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射撃管制システムや電装品を同盟国の仕様に変更したり、特殊地域に適した変更が行われている。本文中にはこうした改装は「大量生産方式とは極端に標準化された方法であり、特殊な戦闘や地域での運用や最新の変更を加えるためには改装本部を置くことで時間節約になる」ということである。また月60機を超すペースで稼働している工場にて働く従業員の息子/娘の中にはシャイインにて改装をしたB17に乗っている者もいるという。

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巻末の最新海外航空機ニュース。空母ミッドウェーの進水、Tu-2型爆撃機の出現、10トン地震爆弾の実戦投入、ダグラス社の戦後計画 などが報じられている。

 

というか、IL-2の写真をPE-2と紹介しているぞ?

 

五月の雑誌はこの42ページで終わりである。いつもと変わらないぐらい濃い記事が続いたが、この本はなぜかページの大きさが統一されておらず、製本品質が非常に悪い。そして表紙と裏表紙が青インクで印刷されている。 なにがあったのだろうか・・ (つづく)

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表紙。イラストはハシビロコウではない、クジャクだ。