兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

航空朝日 第四巻二号 特集・鹵獲敵機の研究(白ハゲの漫画もあるぞ)

メンフィス・ベルとかWarThunder、あとシヴィライゼーションなど諸々のコンテンツにおいて猛威を振るっているボーイング重爆[空の要塞]。このたび、該当機に関する詳細な資料を入手したのでご紹介させて頂く所存である。

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今回取り上げた本では、日本軍がマレー方面に進出した際に敵基地から回収した航空機の分析がメイン記事となっている。ホーカー・ハリケーン、カーチス・P40E、ブリュースター・バッファロー、ダグラスA-20、ボーイングB-17、ダグラスDC-5に関する詳細なデータや図が載っている。戦闘機に関する話はwikipediaなり個人サイトなりで各々調べたらいくらでも出てくるからいいとして、今回は問題の「空の要塞」について詳しく書きたいと思う。

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以下、記事よりボーイングB-17の特徴をあげる。

「排気タービン式過給機の仕様により、飛行高度を7600米まで引き上げ、高空性能を良好にする。設計当時の時代としては高翼面荷重と対向翼断面を採用している。タブ操縦方式により、大型機としては操縦は容易。性能良好な油圧と電気装置を仕様している。燃料系統が独立している。操縦席まわりのまとまりがよい。耐油ゴムにより耐火・防弾能力は高い部品の互換性が高く、修理や整備は簡単。」

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白ハゲの図。B-17を運用するには多くのクルーが必要なことがわかる。

どうやら、皇軍荒鷲とは対照的なところがチラホラ見受けられるようである。

装備の詳細を見てみよう。

「武装 最大で約1900キロの爆弾を搭載可能。電気式投下装置、手動投下装置、操縦席の非常投下装置から制御ができる。特徴は操縦装置またジャイロと一体化したM1照準器である。操縦と同時に照準を行い、所定の投下角に達すると自動的に爆弾が投下される。自衛武装は7.7mm機銃1門と13mm機関砲6門。射角に問題があり、実戦では役立たぬ。」

「消火装置 機内消火器と炭酸ガスによる気化消火装置の二系統」 

「酸素装備 充填式酸素瓶が18個。約14800立で個々の破損があっても支障がないようになっている。」 

このほか、自動操縦、マーカービーコンを備えるが紙面の都合で割愛されている。

どうやら、冗長性が高いように思える。一方で締めには「米英軍用機は、彼我の個人主義的思想を表徴した消極的防衛力の増強に重点をおいている。(中略)いたずらに全備重量を増大させ、軍用機の生命たる主要性能を犠牲とし、優秀な我が空軍の好餌となったことは哀れというも愚かなる次第である。」とのコメントが載っている。個人的には、これこそが日本敗因の一つといっても差支えないのではないだろうか。

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で、別のページには「B-17は防御力が高い代りに航続距離が犠牲になっている」とか、「エンジンが1発しか動かなくても飛行は継続可能」みたいなことが載っている。

でよく見ると「少数の[空の要塞]ならば我が新鋭機の好餌となるのは明らかであるが、多数の[空の要塞]が1万メートルで来襲するのであれば相当の警戒を要する」と割と先のことを見据えたコメントがある。技術の進化は日進月歩を感じずにはいられない気もする。

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白ハゲ図その2。機銃がいたる箇所についているが、中には現地でオリジナルの改良を行った機もあったという(例:オールド666)

以上が、B-17に関連す2つの記事である。この本にはほかに「敵機解説(2)」「満州航空界見聞記」「米空軍を推進する人々」といったコラムがあるが説明を割愛する。

しかし、メンフィス・ベルに出るB-17 G型 はこれらC,D,E,Fのさらなる改良型である。

どこが違うかは、また今度書きたいとおもいます。 

 

B-17がB-29になり、B-47がB-52になり、そしていまでも相当数のB-52が運用されていることは特筆に値する事象ではないだろうか。

それではまた。