兵器道楽

兵器に関する古い時代の本を読んでいます。

科学朝日・報道と解説 2605年5月1日号「ソヴェトの新戦車、"パーシング将軍"、上陸作戦機材ポンツーン、イギリスの護送空母」

東京が焼け野原となって、その焼け跡が寂びたり錆びたり、金属製にしていた電車の架線柱が燃えずに済んだりしている中でも国民のための分かりやすい科学雑誌は発行され続けたのだ。今回はパーシングM26パーシング、JS122スターリン、SU152、T34-85が紹介されている当時の雑誌を入手したので紹介したい次第である。

表紙はウラル地方へ疎開を果たしたタンク工場だ。戦車の町こと「タンコグラード」なんて呼ばれているという噂である。国内ニュースでは竹製の防弾チョッキ、ジャイロ平衡試験機、電磁力を使った釘打機、疎開地の材料で防空壕を補強する技術ができたことを伝えている。いよいよ本土決戦が迫っている感がある。

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しかしここで一番紹介したいのは海外ニュース・新兵器の欄といえる。「米国の新戦車・パーシング将軍」なんて書いてあるのだ。以下本文より「ドイツの虎戦車に対抗するために設計されたもので、今次大戦におけるもっとも有力な兵器の1に数えるを得るべく米軍としても最強の戦車である」「重量は40トンほど。75トンの虎王戦車は泥沼にあえば動きが取れなくなる。なお、要部の装甲は普通戦車より4尺厚いという。」

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この記事は文章しか載っておらずなんとも言えないが、情報だけはあったと思うと編集陣の意地を感じないわけにはいられない。

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しかし、1戦車ゲームプレイヤーとして本当に読むべき場所は巻末グラビアのソ連戦車解説である。「機甲戦を誇るソヴエト軍は莫大な戦車勢力を戦線に投入し、火砲の威力と相まって強引な突破力を発揮しているが、独ソ開戦当初突如戦線に出現、その画期的性能においてドイツ軍はもちろん、列国を驚かせたT34とKB1があった。」「T34中戦車は装甲、武装、機動性能など戦車としてのすべての性能を満足せしめた調和のとれた優秀な戦車であり、開戦以来現在に至るまでなお実用せしめられている。」

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なんというか、大絶賛である。砲塔は鋳鋼製であること、火砲が85粍砲であること、履帯幅が広く接地圧が減じられているので通過能力が高いことにも触れており、非常にわかりやすい。一方で、JS122戦車も装甲圧と機動性と生産性と火砲のすべてのバランスがいいことが記されている。

もっともいずれの車両も居住性人間工学性に(狭いから操縦していてシンドクなるとか、分かりやすい照準器を積んでるみたいなこと)はまったく触れてないあたり大日本帝国を非常に感じるコンテンツであった。

 

さて、今回の雑誌はわずか20ページでおわり。ポンツーンや代用燃料あたりはネタになりそうなのでまた今度気力があれば書いてみたいと思いました。しっかしまあ、このT34やJS122が画期的な性能を持っているせいか、対戦ゲームで猛威を振るうようになるなんて誰が想像したのやら。